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エノカマの旅の途中

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映画「Fukusima50」

「緊急事態宣言」が僕の県にも出ました(この県をひとくくりにするのもどうかと思うが)
僕の場合はインフラなんでテレワークとか関係なく、京都市内まで普通通りに通ってますが、さすがに電車の乗客は減ってますね。
行事がことごとく減って予定も無くなっていって、帰りに散歩するぐらいしかしてないんですけど(運動不足になるしね)
ともかく自覚を持った行動が必要かと思います

今のコロナ騒動で映画館も避ける人も多いのですが
僕も専ら平日の仕事帰りでガラガラの時に見ることが多いので(三月に行きました)今ぜひ見ておきたいと思って行ってきました。
映画「Fukusima50」_f0010195_18041013.jpeg




「永遠の0」の時もそうだったけど、原作者の思想の寄り方で見る前から「この映画はダメだ」という人は今回もたくさんいるようです。
 
 当時の政権の「総理」が無能で現場の意向を無視している。
 原発事故の原因を作ったのが電力会社なのに、彼らを英雄に仕立てるのか。
 反原発の明確なメッセージがない。

といったことのようです。
僕自身は震災当時の映像で見ていた事象がなぜ起こったのか知りたいのが理由だったんで、こういった事実に基づく映画は価値ががあり「何があったか」を知るために後世にも必要なものだと思います。

実際のモデルとなったのが渡辺謙演じる吉田所長で事故の数年後に亡くなっています。
あとは実際にいた人の名前ではなく、佐野史郎は「総理」として出てきます。
所長と同期で現場の指揮にあたるのが主役の当直長で佐藤浩市。この方は以前の映画で「すぐにおなかを壊す」総理大臣の設定で演じて、そっち方向の人に叩かれたりしたんですが、あくまで今回の役柄にしても「仕事として」割り切ってるんじゃないかな。前に批判されたから今回受けたとかまで言ったら、それこそ勘繰りすぎだと思う。

事故の起こった瞬間から、現場に踏み込む決死隊の行動は実際に携わった方からも「リアリティーがある」そうで迫力がありました。
電源の接続、ホースの連結。各地から救援に来る消防車の放水隊、自衛隊、そして米軍の動き。
避難命令から原発関連の家族への中傷、決死隊は「若い者はとどまれ。年齢の高いものから行く」、水道が止まって汚物であふれるトイレ。
1号機と3号機が爆発したのは生々しく覚えているものだけど、2号機が踏みとどまったことで被害はあったものの「最悪の事態」には至らなかったことがわかりました。その理由は解明されていないとのことで、ぞっとする話でもあります。

現場サイドと東電幹部、政府とのやり取りでは大げさではなくて、こんな非常事態ではとうぜん起きうる怒号でしょう。
一時期言われた首相の菅直人がベントで「海水注入中止」を命令したのではなく、今よくいう言葉で東電幹部が「忖度した」とも取れる描写になっていて、一番無能なのは東電幹部だと感じました。「首相」も必死にどうにかしたいと行動は取っていたとは思います。
一連の危機を脱した後(これで脱したとは言えないって主張する人も多いようですが)は家族との再会があり、吉田所長がガンで亡くなるところで終わります。

特に偏ってるわけではないのですが「反原発」を徹底的に主張して、東電をとことん責め立て、当時の政権を擁護しないと気が済まない人たちがいろいろ言ってるのでしょう。
一般的な評価では4以上がほとんどですが、トレンドで上がっていた「キネマ旬報」の評価が三人とも★一つってのは、どう見てもおかしすぎます。
くぐっていてこちらの記事が公平な目線でよく書かれていて、僕も賛同できるものです。
確かに全体的には「無難に」実際に起こったことを淡々に描いてた作品で、決して現場作業員を過度に英雄視するなどの「偏り」などはなかったです。
でも危機を脱することができた決死の彼らの行動があったことは、事実として伝えなければならないと思います。

by enokama | 2020-04-07 21:03 | 書籍・ライブ・映画 | Comments(0)