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エノカマの旅の途中

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人物叢書「緒方洪庵」

今年二月に刊行されました。著者は大阪大学名誉教授の梅渓昇氏
人物叢書「緒方洪庵」_f0010195_00030372.jpg


梅渓さんは(執筆時)なんと94歳。高齢もあって数年前に大阪を離れられて、東京の息子さんのところで生活され
隠居されたとお聞きしていて、もう引退されたのかなと思ってたんですが、集大成ともいえる「緒方洪庵伝」を
まとめられていたんですね。

先月ですが、北浜の適塾に行って受付の方に梅渓さんの近況を聞いたんですが
もうこちらの方にはよく本人を知っておられる方がもうおられないということでしたが
(もちろん待兼山の方ではもちろんご存じでしょう)
その翌日に訃報が報道されました。。。びっくりしました。

(産経新聞)
江戸時代後期、大坂に「適塾」を開いた蘭学者、緒方洪庵研究の第一人者として知られた
梅渓(うめたに)昇・大阪大名誉教授(日本史学)が18日、肺炎のため死去した。95歳。
通夜は21日午後6時、葬儀・告別式は22日正午、東京都小金井市梶野町5の8の29、
多摩式典小金井会館で。喪主は長男、巌(いわお)氏。
大阪大文学部長などを務め、適塾の保存にも尽力。平成7年に勲二等瑞宝章、8年に大阪文化賞。



記事は五行ほどだけなので詳しくは→こちら
数年前に亡くなられた洪庵子孫の緒方富雄氏や阪大の芝哲夫氏らとともに、空襲にも奇跡的に残った
第二次大戦後の適塾研究の中心的存在でありました。
阪大の図書館にもその資料がたくさん残されているし、地方に散らばっている門下生のついての
各地の研究者ともネットワークを作られていて、かなり幅広い研究をされておりました。
氏の偉業を称えるとともにご冥福をお祈りいたします。

従来の適塾の出版物では「適塾と門下生」や「緒方洪庵と天然痘・コレラ等の伝染病対策」に関する
カテゴリに分かれていた感もありますが
今回の出版では洪庵本人の「人物伝」となっていて
備前の裕福ではなかった小藩・足守での出生から、大坂・中天游~江戸・坪井信道~長崎での修業時代
(あまり「修業時代」は僕も知らなかったので貴重)から大坂での開業と塾の経営。
徳川幕府への出仕に伴う江戸行きとその急死の模様(最近の研究では「食道静脈瘤破裂」とみられている)
について、その後の夫人や塾生らについて、初心者でもわかりやすく書かれていると思います。

重要な書簡の写真も多いし、しっかりとした年表、参考文献も参考になります。
最近興味を持たれたという方にもおすすめです!
by enokama | 2016-03-17 22:03 | 緒方洪庵と適塾 | Comments(0)