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エノカマの旅の途中

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西郷南洲翁遺訓 その2

租税を薄くして民を裕(ゆたか)にするには、即ち国力を養成する也。
故に国家多端にして財用の足らざるを苦しむとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐げるもの也。
能き古今の事跡を見よ。道の明らかざる世にして、財政の不足を苦しむ時は、必ず曲知小蕙の俗吏を
使い巧みに聚斂して一時の欠乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐げるゆえ
人民は苦悩に堪え兼ね、聚斂を逃れんと、自然きっさ狡猾に趣き、上下互に欺き、官民敵讐と成り
終に分崩離析にあらずや。


今は増税の論議がありますが、果たして増税したから、税収がしっかり増えるとは僕は考えられません。
ちょっと違うけど、たばこを1000円にしたとする・・・まあ、大概の人は確実に辞めるわな。
だからその税金は確実に減るし、結構な国内での産業でもある、たばこ農家は死活問題になってしまうわけです。
今ほんとうに国力をもう一度立て直すべきだし、そういう時期には税金を上げるなど愚策なのです。
国力を上げて、経済を回せば自然増収になる・・・これは横井小楠も言っていることで
幕末の福井藩や柳川藩では実践されたこと、明治初期の肥後藩政でも行われたことなんです。
開発したい土地を入植したものには、当分の間の税を免除する。
これもすでに各所で行われていたことです・・・
取りやすい税金を一律にあげる、こんなの素人でも考えられること。
他の施策ってのも見えないから、税金を納める側からしても信用ならないのだ。

江戸時代の後半は、かなりの藩が年貢を「定免」にしていたことでしょうが
不作の年であっても、しっかり取り立てる役人は、表面上で上司の勘定方には当然受けはいい。
ただ民には死活問題であって、それが続くと下手したら逃散や餓死に至ることとなる
結果的には税収も減ってしまうこととなります。
またそこには「一揆」が起こったり、幕府巡検史なりへの直訴も伴う。
ここで咎めを受けるとなると、お家の存亡の危機ともなるので
自浄作用ともなって藩には自然と自制が求められる。

いい役人と言うのは苦しい時でも、用水の整備や不作に強い作物等の栽培などの指導の下に
農民の生活を成りたてていくように尽力することで、その姿勢を見ると納める農民側の信頼も得ることで
上下一致して国力を高めることとなるのです。
その他商工業の発展を促し、年貢に依存しない体質を作ることや、幕末の開国後は
商品開発を伴った海外への輸出につなげた藩もありました。

今は増税となると、出る側(支出)のチェックが国民からは当然求められる。
例えば人口の減って行く一方の地域に新幹線を今更、こんな時期に作るって狂ってるとしか思えない。
本当に人の姿がなく、立派なコンクリート建築が遺跡のように残ってるような光景にならないだろうか?

後、江戸時代の藩政改革は財政難となって、やむを得ず年貢を増やすとすると、
例外なく必ず家臣らの給料カットが行われました。
そうしないと、領民の支持は得られません。
だから、目いっぱいぎりぎりの食い扶持まで下げられた、下級武士の内職は本当に当たり前でした。
今は公務員は副業禁止となってますが、給料を減らす代わりに副業解禁してみてはどうでしょうか?
そしたら、お金を儲けることの大変さがわかって、普段の仕事にも反映されないでしょうか・・・
暴論ですかね(苦笑)



常備の兵数も、亦会計の制限による、決して無根の虚勢を張るべからず。兵気を鼓舞して
精兵を仕立てなば、兵数は寡く(すくなく)とも、折衝禦侮共に事欠く間敷也。


国防を増強し、兵の人数を増やして世界に強国として見せようとするよりも
それはあくまで予算の範囲内で行うべきであり、その兵が少なくなったとしても
選ばれた精兵として鍛えれば、外国からの侮りを受けることはないだろう。

過度の軍事優先の財政を戒めています。
あくまで国力に乗っ取った上での行動を求めています。
今も国民を満足に食わせられないのに、軍事優先で虚勢を張っている国がありますよね・・・
あんなの国家とは言えないのだ。



道は天地自然の物にして、人はこれを行うものなれば、天を敬するを目的とす。
天は人も我も同一に愛し給うゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也。

いわゆる「敬天愛人」です。
道と言うのは天地に自然と引かれるものであるから、まず天を敬い
天は他人も自分も同じように愛するので、自分を愛することをもって人を愛するのだ。
by enokama | 2012-07-23 23:48 | 薩摩藩 | Comments(0)