中岡慎太郎論策~知己に示す論(慶応二年十月)
いよいよ押し迫ってきた感じです。。。
まあ、個人的には有馬記念が締めくくりって感じにもなるんですが
今週号のブック巻末の馬体チェック見てたら、ブエナビスタがさらに良くなってるんやね。
牝馬の引退って「買いではない」と思うんだけど、最近は一概にも言えなくなってきてるし
やっぱり逆らえないかな・・・
まあ、でも今年世話になった馬や、好きな馬から買う予定でいます。
外れても、小倉の最終レースでお目当てがいますしね・・・
さて本題で
中岡慎太郎の論策を何回かに分けて書いていく予定の第一弾です!
中岡慎太郎年表→こちら
慶応二年十月二十六日
窃二示二知己論(知己に示す論)
予、 草莽無類也。言ヲ王公貴人二献ゼント欲シテ其道ナシ。
故二虚心黙座、一点之私念ヲ交エズ、既往之過ヲ悔、将来ノ事業ヲ企テ、思処ヲ書テ天下ノ同志二示ス。
予ガ説ハ尊攘ナリ。或曰、尊王は即チ善シ、攘夷ハ不可也。近来西洋諸国二公法ト云フモノ日二盛二、
遂二各国同盟、政事甚ダ美二シテ、先年所謂外夷ト異ナリ、礼ヲ以テ交リ、信ヲ以テ盟エバ
何ゾ彼ヲ悪ミ恐ルル事アラン。
今時恐ルベキ物ハ魯ナリ。今虎狼ノ心ヲ包蔵シ、数年来大兵ヲ養ヒ、国用ヲ儲畜シ、石炭ヲ用意シ諸国
二交易ヲ意トセズ。
彼ノ策ヲシテ若起タシメバ、必ズ突然侵掠、其恐アルハ我朝ヲ以テ甚トス。清之二次。
サレバ今日ノ急ハ、尊王攘夷ノ大本ヲ立ル二在リ。其策ハ他ナシ。国体ヲ立テ、皇基ヲ定メ、兵ヲ充実スルニ材リ
之ヲ行フハ人材也。主トスル処ハ王室を尊ビ、万民ヲ恤レムヲ以テ経世ノ人トス。
海外諸国エ書生ヲ出シ、或ハ外国人ヲ雇ヒ、国産ヲ開、断然ト大二国ヲ開クベシ。如此シテ武備ヲ設ケ
兵ヲ練リ、名分条理ヲ乱リ来ル
強悪ノ夷賊ヲ討ツベシ。
長州高杉晋作ハ、方洛西第一ノ卓説家ノ名有リ。此説二曰ク、英仏方今大強ノ勢ヲ以テ、支那ノ衰政ヲ
目ガケ、正々堂々ヲ以テ、勝ント欲スルヲ、日本現今二取リ手本トセバ大間違ナリ。
今日手本トスベキハ英仏等ノ末盛ノ時、国ヲ起セシ節、戦争度々有之是ヲ学バズンバ何ノ益カアラント云々。此亦名論トス。此某ノ攘夷説也。
世人或ハ徳川ヲ助ケント云。或ハ徳川ヲ不助ト云。
議論紛々未決。某曰尊王室ハ則徳川ヲ助ル也。助徳川ハ則尊王也。故二某ハ、助徳川論也
今日助徳川ノ策ハ無也、政権ヲ朝廷二返上シ、自ラ退テ道ヲ治メ、臣子ノ分ヲ尽スニアリ。
第二次征長(四境戦争)で、長州側の勝利に終わったころの慎太郎の論策でありますが
書き出しが実にかっこいい文章です。
本当はもっと長いんですが、要点だけ取り出してみました。
全体的には松陰先生から久坂玄瑞らに継がれたような、長州系(松門下)志士の思想が現れていますが
そこに開国通商論を出し、人材を選び、産業を起こして国を富ませ、外国からも学んで
国際的に強い(大攘夷)国家を目指すことを提言しています。
一編に高杉の事に触れていますが、すでに強国となった現状の英仏にいきなり学ぶんじゃなくって
その強国になる取りかかりの時期あたりを学ぶことが、今の日本には合っているんじゃないかって言うことです。
なるほどね・・・外国の脅威を認識しつつも、まだまだ遅れている日本の現状に対する方策を論じています。
最後の方は「大政奉還」そのものの考えですね。
よく「平和革命」的に論じる人も多いけど、それは違うと僕は思います。。。
国体を一致して、優れた指導者を選び、国家人民一丸となって国際社会に乗り出そうと言う
決意を示そうとしているかと。
当時は「弱小後進国」って言う認識はありつつも、その気概や将来の展望については悲観的にならずに
まったく対外交渉にしても、知識の吸収にしても貪欲な日本人の姿がありました。
これだけしっかりした考えを持っていた人が何人もいたんだから、欧米やロシアの植民地とか
属国的なことには絶対ならなかったのも頷けます。。。
それに引き替え、今の外交は国益を減らすか、謝罪ばっかりするか・・・
ほんとに対外認識も足らないし、弱腰なんだよな!