エノカマの旅の途中

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BSTBS「ナンバー2」~遠山影元と水野忠邦(ちょっとだけ昨日の放送の感想も)

まずこの番組の昨日放送分の感想を手短に・・・


とにかく解説者が、こんないい加減な幻想や妄想だけで歴史を語る創作作家ではお話にもなりません!
蝶ネクタイして終始足組んで話していて、態度も悪いし本当にムカついた。

まあ内容は例の妄想本の内容そのままで
相変わらず神戸操練所構想はもてはやして、築地は無視なんですね・・・
薩長同盟は「なんで慶勝と西郷は長州を潰し切らなかったのか」勝だけの意見に左右されたわけじゃないし
岩国藩や福岡藩の月形洗蔵の働きかけも当然語られず
「グラバーの意向」で薩長を組ませろって指示で坂本龍馬が動いたから。
暗殺の件は例の調子で「岩倉の指示で中岡が動いた・・・」
「討幕の密勅」「大政奉還」の本当の意味も分からず、大久保や慶喜の考えも中岡慎太郎の人物像も
知らないような奴に語る資格はないだろう・・・

まあ、坂本龍馬で幕末を語ることがそもそも無理があるんだけども
こんな進化のないようなテレビ番組をいつまでも続けてどうするんだろう。
最後に「海援隊士だった岩崎弥太郎」って(阿呆)はっきり言ってました(苦笑)
最悪な内容でした・・・


さて、ここからは本題で先週放送分です。
今回は普通の「金さん」紹介ってより、前回から関連づけた水野忠邦との絡みがメインの切り方がよかったです。
解説は井沢元彦さんで結構、アシスタントの女子アナも食いついてたりして(笑)
こっちは面白かったんだけどな!
(前回記事→ここ



ありきたりの「金さん伝説」は、予定通りにD門氏の担当でした。
それにしても、このじーさんのしゃべってる部屋の後ろ本棚には氏の著作がたくさんあって(幅広いです)
映るたびに「俺はなんでも知ってる」って偉ぶってるように見えました(苦笑)
内容はスカスカのものが多いんですけどね・・・

井沢さんの解説では水野忠邦の改革は、もちろん「武士」の側の引き締めは必要だけど
一般の庶民にも引き締めを行ったことにも問題があったと・・・
吉宗や松平定信の時もそうだけど「インフレ」が悪になってしまって、物価をとにかく下げることでの対策が
中心になってしまうんですよね(「金儲けが悪」ってことの朱子学の影響もある)
とにかくお金が回らないから不景気になるし「あれもだめ、これもだめ」だったら、その対象の商品は
売れなくなってしまうし、よって失業者も増えてしまう。
一方で「商人」って言う立場の人たちの扱いに対しては「士農工商」って言う建前上の身分制度では
「商人は卑しいもの」として税金は取られなかったんですよね。

このあたりは今回の「庄内本」でも、僕が書かしてもらってるんですけど
結果として「法人税」的な対応で、商人にも財政面で関与させたのが田沼意次の政策であって
本間家にかなり依存する形となった庄内藩にも言えることなんですね。
このことに対しては批判するような書物も結構あるんだけど、お金があるところから取ることができれば
結果的に本来の基本税である「年貢」に頼り切らなくても済むんです。
それができないような所では「再検地」をして、年貢を高めに打ち出すことによって
農民がさらに苦しむってこともあるんですから、政策としてはむしろいいことだと思う。
前回の加来さんにしても井沢さんにしても「重商主義」の田沼は評価されてますしね。

太宰春台という「経世済民」=経済と言う言葉を初めて使った学者がいる。
荻生徂徠の弟子でもあるが、師匠のすべてを引き継ぐことではなく
改めて彼独自に修正した徂徠学(各人の個性を大事にした「実学」に近い学問)を広めた。
大々的に徂徠学を導入した庄内藩でも徂徠と春台との考えの違いを巡って
藩政でも派閥争いが起き「政権交代」的な動きが起こっていたほどなのである。
(こちらも今回の本で触れてます)
一方、春台には「経世家」としての顔があり、武士に対しても
「武士だからと言って、商人への借金を踏み倒す方がその道におとる。体面を捨ててでも自分たちで
お金儲けをしてもいいじゃないか」
この意見を入れた藩は覚醒し「重商主義」で財政を立て直した藩もいくつもありました。

幕末でも福井や佐賀ってとんでもない赤字藩だったのが、一躍「雄藩」になったてのも
「武士の体面」を捨ててでも、お金儲けを自ら進んで進めて
その原資で「海防」や「民政」(種痘も行った)として生かそうと言う、現実的な施策を行った結果なのです。
福井藩の三岡八郎(由利公正)が「なんでうちは金がないんだろう」って藩内を回っていたら
ある所にはあったんですね・・・それが三国港の商人でした。
そこで「藩で事業を起こすから金を融通してくれ」その言葉が言える土壌が福井にはあったんです。
そして生産した物産を長崎に送ってボロ儲けする、そしたら商人にも還元できる。。。

忠邦は江戸をもっと発展させて、商人から「運上・冥加金」を取った上で
急務だった「海防」費用に回すってこともできたかもしれないんですが
政策的には革新的な考えを持ちながらも、経済オンチで「先立つもの」がなかったのも失敗につながります。
「江戸にたくさん人がいてもしょうがない」として、地方出身者を国元に返し「農業生産人口」を増やすってことで
年貢の増徴を図り、商人には「株仲間の解散」(各産業ごとの組合的なもの)を命じたり
前に書いた「上知令」を出したりしますが、ことごとく失敗してしまいます。
このあたりは「重商主義」に傾いていた藩も出てきていたので、株仲間の解散もあって
流通が機能不全に陥ったこともあったんですよね。

政策やスローガンは立派でも、やはり「お金」は必要なんです。
そのあたり現代の政治にも言えることなんですけどね。。。
経済でも私たちが「もう一つ欲しいけど買うのはガマン」ってことが今の時代は多いでしょうが
それをガマンせず行うことで、極端な表現だけど「雇用が5万人ほど出る」ってこともあろうかとも思います。
その反面、今まではなかった需要が多くの人が使うことによって、急成長の事業ができる。
それが今回、球団を買った「モバゲー」なんですよね・・・・

最後に金さんが有名になった理由について
やはり反面教師的な鳥居の存在があったから、普通に庶民の立場・声を聞いて現実的な対応をした
遠山がその行動以上の賛美を受けることになったんですよね。
それに芝居小屋を守ったこともあり、のちのちにも喧伝されて行くことになる・・・
その水野にも対抗できた理由は、将軍・家慶からの評価が高かったことでの後ろ盾もありました。

江戸時代は、ただ庶民が搾取された封建制度では270年も続くわけがありません。
ある程度のはけ口を設け、いざの時は庶民も行動を起こし
幕政も藩政もその時代に応じた経済・民政政策を行いました。。。
また、それらの動きを調べることで歴史の違った面も見えるかと思います!
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Commented by 閑山亭石翠 at 2011-12-10 01:59 x
中村先生、やうやく刊行されたのですね。
エノカマさんをそこまで唸らせるのでしたら、先生の集大成、大層な研究本なのでしょう。

エノカマさんならば、「研究者の道」今からでも遅くはないのではないでしょうか。近頃紛いの俄か歴史オタクとは異なり、貴方様は本物とお見受けいたします。
Commented by enokama at 2011-12-13 02:10
>閑山亭石翠さん
最大限の御賛辞ありがとうございます!

この本は前書き・後書きからしても
中村先生の魂がこもっている本だと思います!
by enokama | 2011-12-06 23:50 | 幕府東国諸藩 | Comments(2)