エノカマの旅の途中

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緒方洪庵先生のこと・適塾記念講演会(免疫と阪大における史学の話)

今年の初めにNHK「浪速の華」そして今放映中のTBSドラマ「JIN」と大坂の至宝であり
幕末期に現在の免疫(ワクチン)に通ずる天然痘やコレラの研究に心血を注ぎ
その撲滅のために海外からのワクチン(牛痘菌)を仁術によって全国に広め
一方、開いた蘭学塾・適塾では、のち明治期に活躍する多くの人物を育てた緒方洪庵。

今のドラマ「JIN」では武田鉄矢がどうかな~、ちょっと僕からしたら軽すぎかなと思ったりしたんですが
洪庵先生を知って興味をもってもらうには、いろんな方の感想を見ててもよかったみたいですね。
僕は橋本左内を調べるところから適塾と洪庵先生に興味を持つようになって、北浜に現存する適塾に通うようになり
会員にもなって3年ほどになります。
それから記事もちょくちょく書いてまして、おそらくこれだけ書いている人はいないだろうと自負しています(笑)
だから脚光を浴びるようになってとてもうれしいです。。。
もし一連のドラマで興味を持った方は、このカテゴリをお暇な時にでも遡って見てくださいね!

そして先日(16日)京都で北川村の方と別れた後、大阪に移動して
適塾記念講演会(→こちら)に行ってきました。
元々はこの講演会の時間の始まりが微妙で、仕事を午後休にしようと思ってたんですが
結局1日休むことにしました。




この講演会は毎年1回あるのですが平日が多いこともあって、中々仕事のかげんもあって
行けていませんでした。
今年は歴史教育についての項目もあって、聞いてみたいこともあり行ってきました!


二部構成で一部が「免疫にとっての自己とは?」
今、新型インフルエンザでもワクチン(免疫)が言われていますが
この免疫の概念を日本で最初に広めたのが(天然痘のワクチンとして牛痘菌を植えつける)
緒方洪庵であって、設立された「除痘館」のスタッフを始めとする医師たちのネットワークでした。
その適塾直系の流れを受け継いだのが大阪大学医学部で、現在も研究の最先端を行っています。

人はいったん病気になると非自己(感染症)から自己を守る機構(記憶による免疫)ができるので
二度と同じ病気にはなりません。
しかし、体のリンパ球は50日経つとまったく入れ違ってしまい、免疫システムが常に変化するので
病気になるし、伝染するのです。
ワクチンはそう言った体に人工的な記憶力を与え、免疫を起こし伝染病等から守ります。
しかし、いくらそう言った繰り返しで、ある病気が撲滅しても、新たな伝染病と言うのが周期的
に発生します。それには免疫がないので死に至ることが多いのです。

中でもエイズはその免疫を破壊すると言う恐ろしい病気です。だから一般的な免疫を持っていれば
防げる病気に対する防御が無くなります。だからあらゆる要因で死に至ります。
逆に数十年前に撲滅宣言がされた天然痘。この天然痘が今日起こったとしたら(細菌爆弾等の例があったとしたら)
中高年以上でかつてワクチンを受けた人たちだと防げますが、若い人だったら一発でかかってしまいます。

しかし未来に新たに生まれるウイルスに対して、免疫は無限の組み合わせがあるそうなので
対応できるような研究も行われているようです。
また厄介なのが、免疫でも自己の臓器に向かって破壊するものがあって、アレルギーや関節リウマチ
の要因ともなります。

ちょっと僕自身のまとめ方では伝わらない面もあるでしょうが、ほんとは難しい専門的な話でも
なるほどと頷くことも多かったです。
また、これだけ専門的な研究のスタッフがおられるんですから、今の新型インフルエンザなどの問題
に対しても、どうにかできるんじゃないかなと言う心強さを感じました。。。


二部「日本史と世界史をつなぐ~阪大史学の挑戦」
こちらは、実際に学校歴史教科書の執筆に携わっている講師の方の講演でした。
暗記一辺倒の教育に見られるように、細かいことにこだわって全体的な流れ(日本史と中国・朝鮮史
のつながりなど)が掴めない教育が問題視されています(確かにそう思う)
そこで
「辛亥革命(1911年)後の中国は領土・民族などの点でどんな国になるべきだったか
当時の状況をふまえて孫文になったつもりで答えよ」
「もし江戸幕府が鎖国しなかったら日本はどうなっていただろうか。どんな得失があっただろうか」
と言った推論を考えるなど
唯一絶対の正解を求めるのではなく、複数の方法を使い分けて歴史理解の改善を図ることも
試されているようです。

また鎖国についても僕らだったら唯一、長崎だけが海外への窓口と習ったんですが
大人になって歴史を専門的に研究しだすとそうではなく、まだ海外に開いていたルートもあったことも
専門の先生に聞いたりして認識も改めてきました。
そして実際、最近の教科書では記述も改められてきているそうです。。。

・薩摩~琉球~中国ルート・・・いわゆる薩摩の密貿易ですね。
・対馬~朝鮮ルート・・・対馬藩と友好藩だった長州は当然、ここにかんでいたと思われます(大名の
 偽の印鑑が出回っていたとも。。。)
 江戸時代の朝鮮も皇帝の代替わり等があると定期的に「朝鮮通信使」を江戸に送っていて、実際に
 瀬戸内の主な港にはその所縁の地が数多く見られます。
・蝦夷地~北方ルート・・・松前藩あたりが前線基地だったのでしょうか。幕末の外交問題は、黒船・ペリー
 より北方ロシアの方が先に発生してました。
 越前大野・福井藩もこのルートに着目して利潤を上げてました。東北きっての富裕藩・庄内も当然かんで
 いたでしょう。

考えたら幕末雄藩と呼ばれる藩は古今、平清盛のころから貿易立国と言う国家がありましたが
しっかり押さえていたんですね。
また、長崎はオランダとの貿易と思われがちですが実際は中国(清)貿易が大半を占めてたそうです。
そして実は各藩に召抱えられる中国人の存在も多かったそうです。。。

最後に質問受付があって「なぜ西郷は悪者で好戦家のように書かれることが多いのか」
と素朴な質問(笑)をしてみました。
答えは「そういうキャラクターが必要で西郷さんが割りを食ったんじゃないか」(苦笑)
でも歴史研究は年々進んでいるし、新たな発見の反映はすぐには進まないけど変更は常にされているそうです。

今回は、なかなかためになる講演で大変勉強になりました!
歴史にしたって、今までの当たり前の概念ってどうなんだろう?
悪人とされていても、実はとても世に尽くした人がいたり
偉大とされている人物には、表に出てこない隠れた協調者がいたりする。
そのあたりを改めて発見していければ・・・と思いました。
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by enokama | 2009-11-27 23:40 | 緒方洪庵と適塾 | Comments(0)