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エノカマの旅の途中

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西郷南洲翁遺訓 その1

先週、BS歴史館の西郷さんの番組のことについて触れたんですが
結構アクセスがあったりもするんですが、実はあまりまともな感想でなかったんですよ・・・

まあ先生方も「西郷さんはつかみきれない」って言ってたほどですから
大義名分を大事にした行動や、最初は強硬で後は引いていく交渉術ってのはわかっても
東北戊辰戦争の時みたいに、よくわからない時期ってのもあるし
どんな人って言うのも一言では難しいんですよね。
また「西郷さんが○○した」って言われることでも、今までも書いてきたように吉井幸輔や伊地知正治の
行動によってのことや、その意志ってことも結構あったとも思えるんです。

まあ一番わかりやすいテキスト的なものは
やっぱり旧庄内藩士らで編纂された「西郷南洲翁遺訓」でしょう。
(庄内と西郷さんのつながりは、庄内藩カテゴリの最初の方とこちらで参照してください)
今の時代にも置き換えて、教訓にもなって勉強になる部分も多いです。。。
これから何回かに分けて紹介したいと思います!



政の大体は、文を興し、武を振い、農を励ますの三つにあり。その他百般の事務は、
皆この三つの物を助くるの具也。この三つの物の中において、時に従い勢に因り
施行先後の順序はあれど、この三つの物を後にして他を先にするは更になし。

基本的な明治政府の方針と言っていいでしょう。
このあたりを早くから唱えていたのは、横井小楠であり、橋本左内だったと思うんですがね。
幕末の各藩の海防は、元来外国の脅威に備えてのものであって
それが国内の情勢変化で、討幕に向かっていた側面もあったけど
欧州の先進国が世界中の海に乗り出し、植民地を求めていた時代では
国防による均衡ってのも重要なことだったと思います。
今の北朝鮮みたいな軍事力だけで、国民生活はどうなんだってとこも困りもんだけど
産業や貿易の振興ってのに最も長けていたのが薩摩であり、長州であり、佐賀だったし
教育のレベルもかなり高かったので、しっかりとした指針も出しやすかったのじゃないでしょうか。
「薩長閥」の弊害ってのも言う人はいますが「有司専制」として支配したことで
むしろ改革・近代化がスピード感を以て行われていったとも言えるでしょう。
反面で急速的な民権派の活動は、まだ早いと言っていた大久保利通の時代がまだ長く続いていたとしても
基礎が固まった時点での「民主化」には理解を示していたとも言うし
伊藤博文が政党政治に柔軟な対応した例もありますしね。
教育については、各地で悪名高い鬼県令・三島通庸の例でも
学校の創設など教育の充実には異様な執念を見せています。。。

今もこの3つは基本だと思います。まあ今は軍事って時代ではなく「外交」に置き換えるべきかもしれませんが
ただ中国の軍事拡張にはしっかり対応しないとだめだろうし、領土問題(本当は問題になることではない。
本来、日本固有の領土であるべき地域に中韓がいちゃもんつけてるだけ)もしっかりとした歴史観を持った
人が毅然とした態度で臨むべきなんですね。
教育も大事でしょうが、今の競争をなくした「平等教育」では世界との競争には勝てないと思います。
ルールにしても無免許で何度も車を乗り回して、あげく人を殺してしまう奴なんて論外でしょう。
産業振興については、今の政権では「年金老後」の方が優先なように見えます。
これも順序が違っています。

  

万民の上に位する者、己れを慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹を勉め、職事に勤労して人民の
標準となり、下民その勤労を気の毒に思う様ならでは、政令は行われ難し。
然るに草創の始めに立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り、美妾を抱え、蓄財を謀りなば、維新の功業は
遂げられ間敷也。
今となりては、戊辰の義戦も偏えに私を営みたる姿に成り行き、天下に対し戦死者に対して面目なきぞとて頻りに涙を催されける。

国民の上に立つ者は、その模範たる品行方正につとめ、職務にまい進して、国民から生活や仕事ぶりに
気の毒に思われるぐらいの立場にならないと政令は発せられないし、国民は納得しない。
下の二行は西郷さんらしいことで、井上とか、聞多とか・・・
維新の大業では安政のころの左内や月照から、多くの大事な人を西郷さんは亡くしてきたし
彼らの事は片時も忘れなかっただろうと思います。
それが生き残ったばかりに、そんな無念な気持ちで亡くなった者たちの思いを忘れて、私腹を肥やすような
連中は許せないんですね。

書きすぎて、今日は二つだけに終わってしまいました(苦笑)
また、引き続き触れたいと思います!

Commented by 白根葵 at 2012-04-28 06:48 x
おはようございます。南洲翁遺訓、素晴らしいですね。意味合いは違いますが、慎太郎さんの「邑有る者は~」もどちらとも今だからこそって感じがします。あと、聞多とか、聞多とか、聞多とか。書き方面白過ぎです。昨日、南洲神社に行って来ました。この間の西郷さんの特集で、NHKが取材に来て、1日掛かりだったのに、流れたのたった3秒だった話しや、ここでは言えないエピソードなんかも聞かせて頂きました。庄内は桜が散り始めていて、風に舞う桜を見て、兼さんの句を思い出しました。
Commented by enokama at 2012-04-30 00:09
>白根葵さん
南洲神社ではいろいろ話聞かれたようですね!
確かに、庄内はほとんどが酒井の殿様の話でシーンは短かったです。
桜前線もどんどん上がって行ってますね。
僕は火野さんの番組が北上していってるんで
その桜の風景も楽しみにしています!
by enokama | 2012-04-24 23:22 | 薩摩藩 | Comments(2)