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エノカマの旅の途中

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油小路の決闘と御陵衛士と薩摩藩

ちょうど御陵衛士のことを書いていたら
BSの「新選組血風録」が今回、伊東甲子太郎だったので
例の1本買いで、見てみました!

いきなり「引っ越しのサカイ」のおっちゃんが刺されて
火をかけられるシーンで、その娘・美代に「間者」を頼んだ永井土方が後悔して
腑抜け(苦笑)になって、すっかりへたれなキャラになってしまいました。。。
それにしても、なんでこんな切羽詰まった時期に桂小五郎(このころは木戸になってるか)に
普通に会って、時勢じゃなく(まあありえないけど)女のことで説教くらってんだ!
おまえがしっかりしなきゃだめだろとも、もう君には会わんとも(苦笑)
これで20分ぐらい引っ張るんだからね…

藤堂平助が御陵衛士に入って、斉藤一に伊東への忠誠を誓い、セリフにもありましたが
「袂を分かつとはこういうことだな」と決別。
ナイスガイ平助のキャラも立振舞いも、よかったことはよかったけど
なんで伊東に傾倒(やたら強調していたけど)するのか、もっと具体的な伏線を引っ張った方が
最近のドラマに言えることかもしれないけど、言葉足らずに思えます。

鶴見さんの甲子太郎はちょっと、確かに歳食ってるけど
着こなしと言い、重厚な才子の雰囲気は出ていました・・・
人のいい甲子太郎を支える篠原のキャラはよかったです。

それにしても、しっかりした原作も定番のエピソードや、ちゃんとしたドラマの要素があるのに
生かし切れていない感じが残念です。
「龍馬暗殺」もありましたが、いつも通り慎ちゃんは先に(略…)



表題の話題になりますが新選組から分離した伊東らの
「御陵衛士」がよく言われる薩摩藩の庇護を受けていたと言う話は
僕も実際に複数の研究者の方からもお聞きしたんですが
「なかった」とのことで定着しつつあるようです。

司馬さんの原作では、富山弥兵衛と言う新選組に加盟した薩摩浪士をキーマンに
(彼自身が大久保一蔵の送り込んだ間者とする説もあるようですが)
伊東と薩摩を結びつけようと言う動きがありありと描かれ
弥兵衛が虫歯を自身で釘抜きでひっこ抜いたり(よくこんな発想が浮かぶもんだ)
津軽の毛内有之助と南北で仲のいい設定であったり、さすがに面白いですね!

そして薩摩の大久保利通が白川の陸援隊と並ぶ京都での挙兵の一勢力として
「御陵衛士」を使おうと考える。
でも実際に構想は大久保じゃないけどあったでしょうし、中岡慎太郎と伊東との接近も
その一環であって、薩摩は表向きは関わらなくても、機敏な行動を見せる中村半次郎や
浪士に顔の利く吉井幸輔らは、もちろん行動はしていたでしょう。
油小路で生き残った隊士らを藩邸に収容した半次郎の行動が有名で
ここから「薩摩との関係」と言われる話が出てきたそうですけど
半次郎自身がこの手の話(敗者を保護するような)は、いっぱいあるんで当然かなと思うわけですけど。

薩摩の援助を受けていない「御陵衛士」が活動資金を、どこから得ていたのかってのも
疑問であって、本来の脱退の目的とされる「分離することによって、薩長の情報を得やすくする」
ことで、双方に情報を流す「ダブルスパイ」だったと言う説もあるようです。
まあ定説のように語られていることが、実は違うってことも多いようですが
「京都での討幕勢力の強化結集」とした役目は、この手の工作に一番長けていただろう慎太郎や
半次郎の役目が大きかったと思います。
by enokama | 2011-06-09 23:46 | 歴史全般 | Comments(0)