エノカマの旅の途中

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北川村~光次の並木と烏ヶ森

安政5年(1858)、慎太郎と名乗る前の中岡光次が20歳のころから
「大庄屋見習い」としての仕事を、老齢の父・小伝次(慎太郎が生まれた時が60歳!だったので80歳だった。
姉が3人いて、待望の男児誕生だった)
から引継ぎ、北川郷の治政に携わることとなります。
この地に豊かな産業や農地があったならば、粛々と年貢の回収に回ればいいのでしょうが
実際に北川に行った方(柏木から奥)はわかると思いますが、川の両側すぐに山がせまり
ほとんど農地の確保ができず、山林の権利等も田野や奈半利などの豪商に握られ、川の氾濫もしばしばと
言う悪条件の中、北川郷大庄屋としては「村人の生活を成り立たせる」と言うことが第一の使命でありました。

そこで「ハモド」と呼ばれる耕地整理や、今は北川村の名産となった柚子、ロウを採る櫨の栽培
また杉や漆と言った、売れる木の植林などの施策を行ったと伝えられています。
特に柚子は日陰でも育ち、塩がなくとも食材の調味料や防腐に使えることもあって各戸に奨励し
現在、北川村の各家には必ず2、3本の柚子の木が見られるほどです。
ただし「桃栗三年柿八年、梅は酸い酸い十三年、柚子の大馬鹿三十年~」と言われるほど
柚子はなかなか実を付けないもので苦労もあったようです。
しかし今はその柚子が代表的な名産となって「柚子収穫量日本一」を北川村は誇っています!

光次は数々の施策を行いましたが、それでも天候不順等で飢饉は起こります。
こう言った時にも光次は村人たちを救うため、高知の城下まで赴き藩の役人に直談判をして蔵を開け
てもらい、救米を出してもらうこともありました。
幕末志士の中でも、抜きんでていたとされる交渉術は「領民を救うため」との決死の思いから
身につけて言ったものなのです。
のち、特に信頼の置ける同志となる西郷隆盛も、自身の流島の際に離島の人たちの貧困ぶりに心を痛め
ていました。そのあたりの境遇も彼らを相照らす中とし、新しい世の中を作るための行動につながったのでしょう。
「たら」ってのは歴史には禁句なんですが、維新後も僕はこの二人のコンビを見たかったのです。
彼らだったら、当然領民あっての政治を第一に据えていたでしょう。

その植林を行ったとされる「光次(こうじ)の並木」の一本の杉の木が烏ヶ森に残っています。。。
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光次の読みは「こうじのなみき」と地元で呼ばれていることからだとも聞いていたんですが
実は「みつじ」とする書付けもあったとのことで、どっちなんだろうともお話を聞きました(笑)
まあ、このころの名前については改名も結構頻繁にあるし、手紙なんかみても読み方や当て字は
アバウトですからね。



烏ヶ森山頂付近
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慎太郎の辞世の句の碑が建てられています(長州で「禁門の変」に向かう時のもの)
また、このあたりには戦国時代の北川氏の居城だった「烏ヶ森城」跡もあります。。。
また彼の書(実はかなりのもんなんです!)や一部の手紙に見られる号「迂山」
(変名と合わせて「石川迂山」とするものもあった)はこの烏ヶ森の「烏」から「迂」を取ったとも
言われているそうです。

そして、柏木へ
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柚子の並木
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慎太郎は23歳の時に結婚し、この時期あたりまでは比較的こちらで腰を据えて庄屋職に勤しんでいました。
しかし翌年文久元年(1861)に「土佐勤王党」が結成され、他の武市門下生とともに加盟。
さらに翌年には山内容堂の護衛の名目で、彼らは「五十人組」を結成し江戸へ出立。
このころ名を改めた慎太郎は久坂玄瑞らとともに各地に遊学も果たし
(水戸や、佐久間象山に会いに松代にも訪れた)
幕末の志士としての活動が目だって行きます。

そして翌文久3年9月5日「八一八政変」後の長州偵察の使命をもって、家族には「高知へ行く」と伝え
烏ヶ森を越え、野根山街道から阿波経由で長州に潜行したとされます。
この時が結果、烏ヶ森を越えた最後となりました。
偵察を終えた慎太郎は報告をしに再度入国しますが、城下の手前で同志に押し留められます。
その時、まさに藩庁は勤王党の一斉検挙に乗り出した頃でした・・・
自身にも出頭命令が出ているのを知った頼太郎は、止むを得ず脱藩を決意します。
事実この前後、勤王党の面々の多くが長州に走っています。
慎太郎も多くの脱藩浪士がそうであったように、長州・三田尻へ(この時の脱藩は浦戸湾の
種崎からの海路説がある)
そして二度と故郷の土を踏むことがなかったのです・・・
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Commented at 2009-10-05 16:30 x
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by enokama | 2009-10-04 23:31 | 中岡慎太郎関連 | Comments(1)