ANA国内線【PR】

エノカマの旅の途中

enokama.exblog.jp

トップ

semスキン用のアイコン01幕末の緒方洪庵と種痘の広がり semスキン用のアイコン02

  

2009年 02月 16日

緒方洪庵をモデルにした前回のNHKドラマ「浪花の華」は、前後2回に分けて
洪庵先生のライフワークとも言うべき「種痘」を取り上げられてました。

北前船の船頭が隠し荷として露西亜からの種痘(しゅとう)を持ち込み、孫娘に植え付
けて松前から運んできた。そしてそれを狙った松前問屋が、娘を誘拐した。書物での知識
だけだった種痘が実際に大坂に持ち込まれたと聞き、これでたくさんの痘瘡(とうそう)患者を
助けることができる、と章(洪庵)は興奮する。
だが種痘について調べるうち、思わぬ事実に突き当たる。実は種痘の植え継ぎは、
七日が限度だった。当時、箱舘からは船でも一月ほどかかる。
おゆきの種痘はすでに意味をなしていないか、そもそもだまされていた。
そして娘を取り戻し、種痘についての研究を深め多くの人たちの命を救うため、さらに決意を固める。

幕末当時、痘瘡の流行に多くの人が苦しめられていました。
かかるとほとんどが死に至り、何とか助かったとしても「顔のあばた」は一生残りました。
一説には年間30万人が亡くなっていて、当時の日本の人口3000万人のうちの1%の命が
毎年奪われていたわけです。
孝明天皇も死因が「流行性痘瘡」とされ(岩倉具視による毒殺説も根強いですが)対策が急務とされていました。
話の中にもありましたが予防法としては「一度かかれば再発しない」ことが知られていて
「人痘法」は実際にかかった患者から膿・かさぶたを直接、移し「軽い痘瘡」にかからせて
免疫を作るというもの。
ただしこの方法では「軽い痘瘡」が重症になり、死に至るケースも多く、洪庵も「人痘法」
での失敗の経験から、種痘の普及・研究に一生をかけたのです。

18世紀末期にイギリスで発見された「牛痘法」では牛からの牛痘菌を使い、その種痘では
軽い膿を出すだけで発症には至りませんでした。
ただし、痘苗自体の保存法が確立されておらず、人から人へ植え継ぐ方法(子供から子供へ)で
ここに安全な種痘が確立されたわけです!

日本では1812年に一時期、ロシアに抑留されていた北海道・松前人の中川五郎治と言う
人物が、ロシアから種痘法を学ぶともに持ち帰り、本格的な事業を広めていました。
(たぶん、今回の話のネタ元と思う)
しかし、彼の死後は引き継ぐ人物がおらず途絶えてしまいました。

当時、海外の良いところを取り入れ、最も洋式兵学や重商化を推し進め近代化を図っていた
のが佐賀藩と福井藩で、この両藩では民政面も力を入れてました。
各藩、幕末の激動の時代、血で血を洗うような勢力争いの中でしたが一揆、力による弾圧や
処刑などは皆無で、進んだ政治を行っていました。
「牛痘菌輸入」による種痘の計画は、佐賀藩では長崎にも近い縁で侍医・伊東玄朴の建策
により藩主・鍋島閑叟に伝えられ進められました。
福井では当時の種痘の第一人者でシーボルトにも学んだ、京都の日野鼎哉の弟子でもあった
藩医・笠原白翁の建言で、藩主・松平春嶽の理解もあり進められ、両藩では競うように
「牛痘菌輸入」の計画を進めましたが
嘉永2(1849年)、佐賀藩が長崎で輸入に成功し、種痘にも成功しました。
(鍋島閑叟は牛痘菌が佐賀に到着すると、率先して我が子に種痘させた。佐賀にその種痘時の像
が立てられている)

この牛痘菌は京都の日野鼎哉の元にも送られ、笠原白翁は福井到着までに12人の児童
を連れて、植え継ぎながら種痘を持ち込み、のちに藩営の除痘館も建てられた。
洪庵も1849年11月7日に「分苗式」を行って大坂に除痘館を開設しました。
ただし、最初の3、4年は悪説が流布し事業は停滞しましたが、粘り強く普及を進め
安政5(1858)年には官許も得て「痘医許可証」を発行し(金儲け目当ての連中を封じるため)
さらに近畿各地に分苗されました。
この名簿の載った資料があるんですが、僕の家の近所の地名が結構あったりして
(山奥もあったりするのですが)その広がりは驚嘆するばかりです。

幕末、開国によって目覚めた人たちは西洋の新しいものを貪欲に取り入れ、維新後にも十分
強国となって生かされたわけですが、民政面でも多くの命を助けるために洪庵先生を始め
とする人たちの姿があったわけです。
「適塾」は各方面に人物を輩出した幕末随一の塾でしたが
医学者では、高松凌雲(久留米)佐野常民(佐賀)長与専斉(長崎)と言った優れた人物が出ています。
彼らに共通することは「弱者・敗者」に対しても分け隔てなく助け、診察に励んだこと。
このあたり、洪庵先生を始めとする先人の姿勢から学んだことも多かったのでしょうね。
今も昔も「仁術」が求められるんです!

by enokama | 2009-02-16 23:11 | 緒方洪庵と適塾 | Trackback | Comments(3)

トラックバックURL : http://enokama.exblog.jp/tb/10374091
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by わだん at 2009-02-17 00:08 x
あきら、カワイイすね。
Commented by enokama at 2009-02-18 21:29
>わだん さん
カワイイになるんですね!(笑)
Commented by enokama at 2009-03-03 01:51
3月3日、画像追加しました!
名前 :
URL :
削除用パスワード